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口下手な彼なりの気遣いだろう。言葉に甘え、思う存分泣いてやったが、彼が悲しげな表情で私を見ていた事には気付くことが出来ずにいた。
『…すいません、』
冨「気にするな」
気にしないわけにはいかない。かなりの時間泣いていたせいか彼の隊服や羽織は私の涙で濡れてしまっている。
『あの、乾かすので私の家に来てください』
冨「気にするな」
『気にしますよ…!!』
何度言っても聞いてくれない。強硬手段に出ようと彼の羽織を脱がしにかかる。目を見開いて驚く彼だが知らないふりだ。
胡「あらあら、お二人とも、此処は町中ですよ」
背丈が私より高い彼の羽織を脱がすのは思った以上に難しく、彼を押し倒して引き剥がし始めた所で蟲柱の胡蝶しのぶさんに声を掛けられハッとし慌てて飛び退く
『あ、あの…わ、わわわ私そんなつもりじゃ…!!!』
冨「あ、おい…!!」
とんだ醜態を晒してしまったものだ。彼に呼び止められるが構わずその場から走り去る。
…羽織はしっかりと奪ってきたが。
『〜〜〜っ、どうしよう、』
やってしまった。昔馴染みの冨岡さん相手ならまだしも柱相手に詫びもせずその場を立ち去ったのだ。腹を切って詫びねば。
後日、奪った羽織を冨岡さんに返しに行く序に胡蝶さんの所へ向かう。
『あ、あの!!!』
胡「…はい?あら、貴方は…」
『先日はすいませんでした…!!醜態を晒した癖に詫びもせず…』
胡「ふふ、良いんですよ、私は気にしてませんから」
あ、いい人。何より美人だ。此方が惚けてしまう程に
胡「それより、冨岡さんなら任務中なのでお茶でもしませんか?羽織、返すのでしょう?」
『あ、はい…そうなんですね、って私とですか?!お茶?!私なんかと…!!!』
胡「はい、そういう訳なので行きましょう」
『どういう訳ですか?!』
強制連行され、甘味処へやって来た。
胡「では、夏は冨岡さんと同じ水の呼吸なのですね」
『はい、育手が同じで…』
胡蝶さんは、とても気さくな人だった。人見知りの私でも話が弾み、お近づきになる事が出来た。甘味処で数時間話し込んでると
冨「おい、鎹鴉を無駄に使うな」
胡「遅かったですね」
冨「…夏、此奴に変な事は吹き込まれてないだろうな」
『?特に何も…』
なら良い、とだけ言うと胡蝶さんに何やら話し掛けている。私には聞こえないけれど。
…なんだろうか、胸の辺りがギュッと痛みを感じる
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坂口(プロフ) - あの、玄弥さんをいれてくれませんか。 (2020年6月12日 22時) (レス) id: 00b7ed554e (このIDを非表示/違反報告)
椿 - リクエストです!甘々な緑壱が見たいです! (2019年10月26日 0時) (レス) id: 9094ec668b (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - みしろさん» みしろさんのTwitterの絵変わったんですね。呟きも再開したんですね。時々見ていました。忙しいけれど甘味処弐と他の作品自分のペースでやって下さい。 (2019年7月28日 21時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
ピザ - ありがとうございます! (2019年7月21日 20時) (レス) id: e3709cb648 (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - ピザさん» リクエストありがとうございます!亀更新のため待たせてしまいますが、ぜひ書かせて頂きます!! (2019年7月20日 11時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みしろ | 作成日時:2018年7月5日 23時