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家出します。 【冨岡義勇】 弓乃様リクエスト ページ1

私には、とても素敵な旦那様がいる。
同じ鬼殺隊に所属し、同じ柱で、無愛想に見えるが凄く優しい彼だ。
同期だった彼より遅れて柱になった私に、結婚してほしい、と全柱の前で告げてきた。
あの時だって、無表情で、いつだって読めない人だと思っていたのに


『どうして、嬉しそうなの』


任務帰りだろうか。同じ柱で、蟲柱の胡蝶しのぶの隣を歩きながら見た目麗しい顔を火照らせる彼は、紛れも無く私の旦那である冨岡義勇だった
…自分の前ではあんな顔した事ない、嫌な感情ばかりが胸を締め付ける


『…っ、』


涙が零れ落ちる前に二人に背を向けて走り出すがどうやら堪えきれなかった様で大粒の雫が頬を伝う。嗚咽を漏らしながら必死に駆ける私の顔はとても不細工だろう。
元より外見に自身は無かったが、やはり彼もしのぶの様な女性が良いのだろうか。


冨「…具合でも悪いのか」


家へ帰り布団に潜り一人涙してる間に、どうやら眠ってしまっていたようだ。横になる私に近寄り心配そうに顔色を伺う彼は、何度見ても無表情だ。
私の前では、常に無表情。長年の付き合いで多少の変化は分かるが…。


『何でもないよ、それよりおかえりなさい。今からご飯作るね』


何となく顔を合わせる事が出来ずにその場から逃げ出すように台所へ向かい晩御飯の支度を始める


冨「…」


重い沈黙が、静寂が二人を包み込む。
その日は特に会話も無く一日を終えた。


ある日任務が別々だった為目を覚ました時には一人だった。
支度をしよう、昨日の事は忘れよう。そう思い立ち上がるもふと玄関の向こうから聞こえた声によって思考は停止する


胡「今日も宜しいのですか?可愛い奥様を放っておいて」


冨「関係ない事だ、別にどうだっていいだろう。それにバレてしまっては元も子もない」


しのぶの口調は彼を揶揄うものだったが、彼は今なんと言っただろうか。
何が、私にバレてはいけないのだ


『義勇さん…』


思えば可笑しい事だらけだった。
彼はただの一度も、私の名を呼んでくれた事が無いのだ。
彼は、本当はしのぶの事が好きなのでは、
その方が辻褄が合う言動が多い。
好きなのは、最初から自分だけだったのか。
血が滲む程唇を噛み締め霞む視界に彼等の姿を焼き付け、私はそっと、その場を後にした。

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坂口(プロフ) - あの、玄弥さんをいれてくれませんか。 (2020年6月12日 22時) (レス) id: 00b7ed554e (このIDを非表示/違反報告)
椿 - リクエストです!甘々な緑壱が見たいです! (2019年10月26日 0時) (レス) id: 9094ec668b (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - みしろさん» みしろさんのTwitterの絵変わったんですね。呟きも再開したんですね。時々見ていました。忙しいけれど甘味処弐と他の作品自分のペースでやって下さい。 (2019年7月28日 21時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
ピザ - ありがとうございます! (2019年7月21日 20時) (レス) id: e3709cb648 (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - ピザさん» リクエストありがとうございます!亀更新のため待たせてしまいますが、ぜひ書かせて頂きます!! (2019年7月20日 11時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みしろ | 作成日時:2018年7月5日 23時

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