(Fischer'sのお話) (ページ3)

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(マ)視線② ページ3

「え、わたし入っても平気なの？」
「別に大丈夫だろ。」
「お…、お邪魔しまーす……。」

ずかずかと部屋に入っていく絹の後を追って、わたしも部屋に入る。何やら奥から騒がしい声が聞こえている。友達でも来ているのだろうか。

「俺はあとから入るから、お前先に入れよ。シルクは俺しか来てないと思ってるから、ちょっとしたドッキリだ。」
「わ、分かった、！」

分かった、とは言ったものの、友達もいるだろうに、いいのか、わたしが先に入っても。微妙な空気になったりしない…？
絹に目を向けると、早く行けと言わんばかりの顔をしていた。よし、覚悟決めよう。

―――ガチャ、

シ「兄貴おせー、よ、…って、は？」
「ひ、久しぶり…。」

マ「え、誰？シルクの知り合い？」
ン「女の子じゃーん！」

部屋の中にはシルクと、友達が二人。みんな目を丸くしながらこっちを見ている。そりゃそうだ。

兄「わりーな、シルク。途中で会ってよ、お前に会いたいって言うから連れてきた。」
シ「ちょーびっくりしたわ！久しぶりだな、A！」
「ごめんね、いきなり。最近会ってなかったから、元気かなって思っちゃって…。」

いきなり来たことに怒ってはいないようで、一安心。適当に座っていいと言われて、隅っこに腰を下ろした。

シ「マサイ、ンダホ。こいつは兄貴の幼馴染だ。」
「初めまして、Aです。シルクの友達…、だよね？」
シ「なんで疑問形。」
マ「ども、マサイっす。」
ン「ンダホです！」

マサイくんと、ンダホくんというらしい。ンダホくんが着ているTシャツ面白いな。
話を聞くと、Fischer'sというグループで動画を上げているようで、マサイくんとンダホくんはそのメンバーで、友達なのだという。

とりあえず、シルクに会うという目的は達成されたので、帰ろうかなと腰を上げると絹に呼び止められた。

兄「帰り車で送ってほしいから、まだ帰んなよ。どうせ暇だろ。」
「えー…うん、分かった。」

とは言ったものの、絹はシルクと何か話し込んでるし、うーん、暇だ。
そうだ、人間観察でもしていよう。