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あの日から、俺たちはほとんど毎日出かけるようになった
少し喧嘩することも減って、平和な日々だ
それと、俺と竜胆はAさんの家に住み着くようになった

いつのまにか、季節は冬になっていた


今日はどこいこっか

というAさんの言葉が好きだ
明るくて優しくて綺麗な笑顔



Aさんと竜胆がいるだけで俺は幸せだなぁと思っていた













『んふふ、今日夜ちょっと散歩行こうか』


夕方、帰ってきて夜ご飯を食べていると、Aさんが言った


「俺楽しみ〜」
「俺も!」




三人でお揃いの冬用のコートを着て、マフラーを巻いて
三人で家を出た




『さ、着いたよ』

Aさんが止まった場所は、真冬の星空が満開に広がっている静かな場所だった



「うわぁ……綺麗だね…」


「ほんとだ、めっちゃ綺麗」




『俺蘭と竜胆に話があるんだ』


静かな場所にやけに響く凛としたAさんの声


「なんでも言ってよ、俺達なんでも受け止めるよ」

うんうんと横で竜胆も頷く



『…ありがと…俺ね、実は、蘭達ともう会えないかも』





“もう会えないかも”






「は、」え?


『前言ったびょーき、ちょっと悪くなってきてるみたいでさ』



寂しそうな声で話すAさん


『俺、記憶病っていう名前のびょーきなんだけど、』


その病気の名前を、俺は知ってた
竜胆も、知ってる


最近テレビで見た、超希少な病気なんだってさ
かかったら、最後はもう治ることはないらしい


『記憶がどんどん無くなってって、無くなる途中で幸せとか感じると、なんか脳が混乱して記憶が全部消えちゃうらしい、まじ理不尽だよな』



苦笑いするAさん
俺はもう耐えられなくなりそうだった


「ッッ……」
竜胆も泣きそうな顔してる


『あ、でもッ記憶が無くなってからなら、また一から記憶を作ることもできるし、普通に暮らすこともできるって』


『それかッ、可能性は低いんだけど、思い出せることもあるかもしれない……って…』




そう、記憶病になった人が記憶を取り戻せる確率は、
1%にも満たない


「……ごめんね、Aさん、俺達、ずっと待ってるから…ちゃんとAさんの記憶が戻るまで、頑張るから…最後まで、側に居させて…?」


『もちろんだよ…』

俺達三人は、満天の星空の下で、静かに抱き合って泣いた

7→←5



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月宮莉夢 - !?!?!?!?絵上手!!!!!私の100倍くらい上手い、、、、、文才もあって絵も上手いなんて、、、、神ですか、、!?!? (2022年6月19日 16時) (レス) @page22 id: b5f61b261d (このIDを非表示/違反報告)
- 私も続編希望です!こちらの作品、面白くて何度も読み直しちゃいました(笑)応援してます! (2022年6月19日 9時) (レス) @page21 id: a19f9ab121 (このIDを非表示/違反報告)
月宮莉夢 - 続編希望です、、!お話が更新されるたびに1人でひゃっほいと喜んでおりましした!ww応援してます!!! (2022年6月18日 23時) (レス) @page20 id: b5f61b261d (このIDを非表示/違反報告)
引きこもり隊 - 続編希望の民でございます。他の作品も頑張ってください!!応援してます!! (2022年6月18日 22時) (レス) @page21 id: af8345609d (このIDを非表示/違反報告)
🐻ちゃん - 好き〜〜〜〜〜♡!!!あ、です (2022年6月18日 14時) (レス) @page20 id: 9bf86ec6ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:h | 作成日時:2022年6月9日 22時

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