俺らの師匠【灰谷兄弟】

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「Aさんは、多分完全に記憶がなくなった訳じゃないと思う」

お風呂上がりの兄ちゃんが言った
でも、Aさんは俺達にだれ？って言ったし


「ちょっと苦しそうな顔してたし、一瞬だけ目が元のAさんに戻った」


「じゃあ、いつか思い出してくれるってこと？」




「わかんない、とりあえず毎日会いに行こう」




歯磨きを終わらせ、
今日はもう寝ろ、と兄ちゃんが俺をベッドに連れていく
俺に布団をかけておやすみ、竜胆って言った


「兄ちゃんは寝ないの？」

「うーん、俺はちょっと調べたいことがあるから…」


「でも俺兄ちゃんと一緒に寝たい」


兄ちゃんにお願いする時の顔で頼んだ
兄ちゃんにはこれが効くんだ


「しょーがないなぁ竜胆〜」



「そんなに兄ちゃんと一緒に寝たいのか〜」

兄ちゃんが嬉しそうに俺の布団に入ってくる
そして俺をぎゅって強めに抱きしめて、おやすみ竜胆
と言って目を閉じた




すぐに寝息が聞こえてくる

兄ちゃんは最近疲れてるんだよ
毎日のように夜遅くまで記憶病のこと調べてるし、
俺のお世話とかしてくれる





俺は兄ちゃんが大好き
でも、俺が一番好きな兄ちゃんは、Aさんと笑って嬉しそうな幸せそうな兄ちゃん

俺はAさんも大好き
Aさんは、俺達三人で居る時のあの優しくてとっても綺麗な笑顔が大好き



あーあ、Aさんはやく戻ってこないかなぁ

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