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第11話 ページ13

サワッ

「アッッ」
『風ですよ。驚きすぎです』

いやだって、こういうのって何かしら音がしたらなにかでるもんじゃん


なんとも言えぬスタートを決めて数分

鬼に遭遇する前に心臓麻痺で死にそうですどうもこんばんは


「もう、ほんと、こわ…」
『ちゃんと鬼がくれば予告しますから』

うんうんありがとうね〜でも鬼が来る前提にしないで欲しいな〜フラグ立っちゃったじゃ〜ん…

まじであのまま引き返せば良かったのになんで入ったんだよアホ。自分から死亡フラグに突っ込むとかまじでやってる

心の中で荒れ具合と対比するように周りは静寂に包まれている

出遅れた分周りに人はいなく、足元を照らすのは月明かりのみ。しかも山だって言うのに動物1匹すらいないからまるで山全体が息を潜めているかのようで不気味で仕方ない

そんな中?銃刀法違反(現在進行形)の一般人がいるときた

言い換えれば社会的にも生物学的にも死にそうな人間が1人いるときた

「もはや餌じゃん私」
『美味しくないといいですね』
「いやそれね」

まぁ味がわかってる時点で味見はされてるので餌の量が多いか少ないかの違いだが

ガサッ

「アッッッ」

突然の草が擦れる音に心臓がヒュンっとなる

あだめ死ぬと思い目をつぶったが特に味見の際のグチャなどといった音がくることはない

生き…てる…?

そおっと目を開けてみるが周りには特になにもなかった

なんだ風かと思い気を抜いた時

ガサッ

「オッ…」

び、びびってねぇし…?どうせまた風だし…??

ガサッガサッ

え、ちょっ

ガサッガサッガサッ

なんか来てるなんか来てる

音の方向を見るとうっすらとだが人影のようなものが見える

月明かりによく見えない中、目を凝らすと

「ひっ!」
『右手にある木に隠れてください。そして声を出さずに息を潜めて』

言われた通り刀を抱えてできる限り身を縮めて隠れる

その間にも近づいてくるそれが草木を掻き分ける音が近づいてくる

全身からありえない程の汗が吹き出る

刀を握る手は震えだして力は入らないし、声が出ないように口をふさぐ手からは荒い息が漏れ出る。脳が揺れるようなよく分からない感覚から視界がぶれ出す

なにあれ

あんな、きいてない


全身から伝わる命の危機に先程見たものが何回も頭の中でリピートされる

青白い肌と血を混ぜたかのような目、口は異様に裂けそこから細長い下が覗いていた

化け物の外見だ

正しくあれは、「鬼」といえる風貌だった

あれが、鬼

人を喰う、化け物

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作者名:こはる | 作成日時:2020年12月16日 0時

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