第102話 ページ6
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劉「……余に子供ができたら、後で厄介なことになるかもしれないと、思ったんだ」
邵可に、もう二度と内乱は起こさないでほしいと言われたから、と続けた劉輝に、楸瑛は目を見開いた。
内乱によって他の公子たちはことごとく倒れたため、王宮に残る直系王族は今のところこの王一人だ。
子ができて厄介になるどころか、とっととつくってくれというのが朝臣一同の本音だろう。
それなのに「厄介なことになるかもしれない」と「内乱」。
____答えはすぐにでる。
彼は、このまま王でいるつもりはなかったのだ。
玉座には、いずれ別の者が即くと、そう思っていたのだ。
その時のために、その誰かがなんの支障もなく王位に即けるように、彼は細心の注意を払っていた。
子をつくる危険を避け、男色家だと皆に思わせた。
万が一にも権威ある家の娘を後宮に迎えたら、例え子が無くても面倒の起こる可能性は充分にあるから、防波堤のつもりもあったかもしれない。
実際、秀麗が霄太師によって無理矢理送られてくるまで、どんな権力者も後宮に血縁の娘を送り込めなかった。
もともと、さほど注意を払われていなかった末の公子だ。
即位するまで誰も彼の性癖など気にしなかった。
事実、重臣たちの誰もが王位継承者となってからの夜の生活で、彼の嗜好を判断していた。
男色家という強い印象のおかげで、王にもう一つの面があるなどと思いもしなかったのだ。
____彼が、女性も抱ける、などとは。
……なかなか、やる
今のところ、まさに王の思惑通りだ。
そして、彼がひたすら待っている、その誰かとは____。
楸瑛はひそかに息をついた。
それでもこれは彼が関わるべきことではなかった。
「では主上、恋をしたことは?」
劉輝は戸惑ったように、でも顔を赤くしながら楸瑛を見た。
なんだそれは?という顔が全てを物語っていた。
恋をしているのにも関わらず、それを自覚する前に体の方ばかりが先に教えられたのだ。
ゆえに、彼はその過程を知らない。
知る必要もなかったのだろう。
望めばすぐに身を投げ出す者ばかりの中では。
王族の寵愛を受けて、喜ばない侍官も女官もいないのだから。
不憫といえば、不憫だな
しかしこればっかりは口で教えてどうなるものでもない。
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咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2021年4月30日 0時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - ラフェルさん、ありがとうございます!!更新できなくてすみません。時間が無かったり、学生として忙しかったりするので、なかなか出来ていないのが現状です。申し訳ありません!出来るだけ頑張ります。 (2020年6月22日 14時) (レス) id: 81545e79a5 (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - すみません、分かりにくかったでしょうか?オチは決まっているので、お話が進むのをもう少し待っていただけると嬉しいです (2019年6月1日 8時) (レス) id: 36855b5a89 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - オチは決まってるんでしょうか?なんだか先が見えなくてモヤモヤします。 (2019年6月1日 7時) (レス) id: e7610b422d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フローラ | 作成日時:2019年4月20日 16時