第124話 ページ29
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劉「お前は侍医だろう!王直属の……国一番の名医なんだ!お前の知らぬものを、他の誰が知ってるっ!!他の……誰が……っ」
声が詰まる。
ぐっと喉にこみあげてきたものを飲み込もうとし____涙がこぼれた。
幾筋も頰を伝う涙とともに、今まで必死で押し殺していた感情も溢れ出した。
劉「……いくな……っ」
この想いを何と言うのか、彼は本当に最近知った。
雪が降り積もるように密やかに、自分さえ気付かず静かに積もっていった想い。
彼女がそばにいてくれるだけで何でも出来る気がした。
彼女だけが、自分の全てだった。
寂しくても____かつてのように大切な人を見失うことはないから。
追いかけられるくらい大人になった。
その日がくるなら、いくらだって待てる。
長い間、あの人を待ち続けたみたいに。
でも。
こんな風に、手の届かないところに行くのは許さない____。
掌をすり抜けて。
もう二度とつかまえられないところに行くなんて認めない……っ!
思わず顔を手で覆った瞬間____
いつのまに現れたのか、霄太師の声が劉輝の耳を打った。
霄「____主上。解毒薬が、手に入るかもしれません」
その声はひどく冷静だった。
劉輝はゆっくりと顔を上げた。
.
.
____別室で二人きりになると、霄太師はことりと二つの瓶を卓子に置いた。
霄「片方が猛毒、片方が解毒薬です」
ひんやりと霄太師は笑った。
霄「どちらを、選びますか?」
劉輝は霄太師を射殺しそうな目で睨みつけた。
劉「……お前は、いつもそうだな」
ぎり、と奥歯をかみしめる。
劉「いつだって、そうだ」
そして劉輝は、ゆっくりと小瓶に手を伸ばした。
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咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2021年4月30日 0時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - ラフェルさん、ありがとうございます!!更新できなくてすみません。時間が無かったり、学生として忙しかったりするので、なかなか出来ていないのが現状です。申し訳ありません!出来るだけ頑張ります。 (2020年6月22日 14時) (レス) id: 81545e79a5 (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - すみません、分かりにくかったでしょうか?オチは決まっているので、お話が進むのをもう少し待っていただけると嬉しいです (2019年6月1日 8時) (レス) id: 36855b5a89 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - オチは決まってるんでしょうか?なんだか先が見えなくてモヤモヤします。 (2019年6月1日 7時) (レス) id: e7610b422d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フローラ | 作成日時:2019年4月20日 16時