第114話 ページ19
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茶太保はふと笑った。
一瞬、何かを期待しているかのように双眸が輝く。
茶「賭けですよ。私は老いた。老いたからこそできる賭けです」
茶「____今でも霄の権力は揺るぎない。あいつは王位争いにも全く関わらず、その地位も権力も同じままでしたからね」
茶「最後までそれを黙って見ているよりは____そう思ったのですよ」
茶「残り少ない人生に未練もない。失うものもない。____最初で最後の賭けです。……まこと、老いとは厄介なものですな」
静「そのために____お嬢様とA様を」
静蘭の言葉に、茶太保は笑った。
茶「中途半端に智恵づいた娘は厄介ですからね。劉輝様が入れ込んでしまわれたのも計算外だった」
茶「____仕方ないでしょう。____幸いなことに、藤家の者も手を貸してくれたのでね」
茶「まあ、A様に関しては、手を出すつもりは無かったのですが、計画の邪魔になってしまったので」
茶「そうして次の手を模索中に、あなたの存在を知ったのですよ、清苑公子」
静蘭の目つきが鋭くなる。
静「……私は、清苑ではないと言っている」
茶「今のその目など、先王陛下のお若い頃にそっくりです。それでも否定なさるというなら、まあそれもいいでしょう」
茶「こちらは、あなたが清苑公子ではないと立証できないことが重要なのであって、血の真偽などどうでもいいのです」
茶「かの公子が戻られたと知ったなら、皆喜んで王に戴くでしょう。そしてA殿はまた清苑公子、貴方の元に」
静「馬鹿な。彩雲国の王は劉輝様おひとりで、その隣にいるのはA様だ。あなたはまた、八年前の争いを繰り返すつもりか」
茶「そんなことをせずとも、主上が亡くなられれば良いのです」
茶「そう____不慮の事故か何かでね。幸い、あの方にはお子がいらっしゃらない。またA殿は貴方の妃に。争いになるようなことはありませんよ」
はっきりと、静蘭の顔色が変わる。
静「____何をした」
茶「王座とお妃をご用意してお待ちしておりますよ、清苑公子。それまでこの宮でお待ちください」
静「劉輝に、Aに、何をした!!」
ダン、と静蘭は剣を壁に突き立てた。
茶太保の首すれすれのところに。
その怒りに燃えた瞳に、茶太保は笑った。
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咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2021年4月30日 0時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - ラフェルさん、ありがとうございます!!更新できなくてすみません。時間が無かったり、学生として忙しかったりするので、なかなか出来ていないのが現状です。申し訳ありません!出来るだけ頑張ります。 (2020年6月22日 14時) (レス) id: 81545e79a5 (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - すみません、分かりにくかったでしょうか?オチは決まっているので、お話が進むのをもう少し待っていただけると嬉しいです (2019年6月1日 8時) (レス) id: 36855b5a89 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - オチは決まってるんでしょうか?なんだか先が見えなくてモヤモヤします。 (2019年6月1日 7時) (レス) id: e7610b422d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フローラ | 作成日時:2019年4月20日 16時