第107話 ページ12
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……Aは闇の中にいた。
体が、ひどく重くて、だるかった。
指一本動かすことさえできなかった。
自分が起きているのか、寝ているのかも分からなかった。
目はちゃんと開いているのだろうか。
それとも閉じているのか。
思考能力のほとんどが奪われて、何一つまともに考えられなかった。
____こんな風になったことなんて、今まで一度もなかったというのに。
それほどまでに、自分はダメージを受けていたのだろうか。
誰かに、体を運ばれているような感覚。
それは決して優しいとは言えない手つきだった。
もっと優しい手を、私は知ってる……
ぼんやりとそう思い、なすすべもなく運ばれながら、ある一瞬、Aは別の世界に来たような感覚を覚えた。
人の住む場所と、そうでない場所との境目を越えたような、そんな気がした。
____闇。真の闇。
今までも闇の中にいると思っていたけれど、肌に触れる闇の色がひときわ濃くなったような気がした。
永遠の闇
脳裏に、そんな言葉が浮かんだ。
____ここは、永遠の闇の世界。
体の奥で、何かが震えた。
劉輝、貴方はこんな思いをずっとしていたのね。
こんなにも怖かったのね。
秀麗は、大丈夫だろうか。
もし同じ目にあっていたら……
劉輝
私のことは良いから、どうか、どうか
.
秀麗を助けてあげて。
.
無造作に体が横たえられる。
口許に布のようなものが巻かれる。
誰かが何かを言ったような気がしたけれど、よく、聞き取れない。
闇を拒むかのように、Aの意識はそこで途切れた。
.
.
____一粒の涙を流しながら。
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咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2021年4月30日 0時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - ラフェルさん、ありがとうございます!!更新できなくてすみません。時間が無かったり、学生として忙しかったりするので、なかなか出来ていないのが現状です。申し訳ありません!出来るだけ頑張ります。 (2020年6月22日 14時) (レス) id: 81545e79a5 (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - すみません、分かりにくかったでしょうか?オチは決まっているので、お話が進むのをもう少し待っていただけると嬉しいです (2019年6月1日 8時) (レス) id: 36855b5a89 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - オチは決まってるんでしょうか?なんだか先が見えなくてモヤモヤします。 (2019年6月1日 7時) (レス) id: e7610b422d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フローラ | 作成日時:2019年4月20日 16時