第5話 ページ8
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静蘭は人目を気にしてわたわたと辺りを見回した。
往来のド真ん中で騒いでいるのだから当然だが……
道行く人の視線が冷たい。
静「大丈夫ですよ。私も内職を増やしますから」
静「こないだの大風で飛んでいった瓦の修理は早くしないと雨が降ったときに大変ですし、桶代も馬鹿にならないですからね」
静「瓦だけ買えれば修理は私がやりますから、その分浮きますよ。」
静「壊れた格子もお城から見繕って持ってきますし……泣かないでください」
静「私は麦のご飯大好きですよ。栄養ありますし」
秀「ふええええん。静蘭いつもいつも迷惑かけてごめんねぇ」
秀「うちのバカ父がもっとしっかりしてたらこんなことには」
静「そんな、お気になさらずに」
秀「お給金も払えないのにずっとうちに居てくれるし……他はみんな出てっちゃったのに」
秀「れっきとした朝廷の武官に、酒楼の帳簿付けとか、書の代筆とか、商家の使いっ走りとかさせてるの、きっとうちくらいよぅ」
静「…………」
それは多分その通りだ、と静蘭は思った。
秀「静蘭一人なら食べていけるくらいの禄もらってるのに、うちにいるから家の維持費とか生活費とかで全部消えてっちゃうし…」
秀「なのに、うちのことは気にしないでもっといい家に仕えていいのよって言えない私たち親子を許してえぇ」
秀「でもでも、本当にいい勤め口があったらね?私たちにはかまわないで」
静「お嬢様」
静蘭は苦笑を浮かべて秀麗の言を遮った。
静「そんなことは気にしなくていいんです」
静「私は出てけと言われるまでおそばを離れるつもりはありません」
静「迷惑などとはちらとも思っていません。」
静「むしろようやく恩に報いることができて嬉しいくらいです」
秀「恩なんて…っ」
静「十三年前、素性もしれぬ私を拾ってお邸に置いて下さったご恩は一生かけて返そうと心に決めていました」
静「ですから、お嬢様方が気に病まれる必要はまったくありません」
秀「……せいらあぁぁん……」
くしゃ、と秀麗の顔が再び歪んだ。
秀「あーもーなんでうちはこんなに微禄なのよぉぉう!」
秀「位だけはやたら高いくせにもうイヤぁーーーっ!!」
静「…………」
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フローラ(プロフ) - かなとさん、ご指摘ありがどうございます! (2019年2月27日 18時) (レス) id: 36855b5a89 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年2月27日 18時) (レス) id: 32a3956d03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フローラ | 作成日時:2019年2月27日 17時