第30話 ページ33
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楸「____やあ、静蘭」
王を捜して府庫にやってきた静蘭は、いくつもある扉の一つからひょっこり顔を出した上官を見てぎょっとした。
静「ら、藍左将軍っ!?」
楸「ちょーっとおいで」
有無を言わさず部屋に引っ張り込まれた静蘭は、もう一人の青年を認めて目を見開いた。
文官の____それもかなり高位の珮玉を身につけた青年。
楸「絳攸とは初対面だね。彼は私の旧友で李絳攸というんだ。吏部に在籍してる」
絳「誰が旧友だっ!貴様なんぞ腐れ縁で十分だ!」
すかさず眉をつり上げた絳攸を、静蘭は驚きの眼差しで見た。
静「もしや____李侍郎ですか!?」
楸「おや、さすが絳攸、有名人だねぇ」
____李絳攸。合格するのさえ難しい国試に史上最年少十六歳で首席の状元及第。
官吏になった途端、頭角を現してどんどん出世し、二十二歳の今では中央官庁の一つ、吏部の副大臣ともいうべき侍郎を拝命。
ゆくゆくは史上最年少の宰相になるとまで言われている、朝廷随一の才人と誉れ高き青年だ。
知らないはずがない。
静「しかし、午前中は吏部で公務があるのでは……?なぜ府庫にいらっしゃるんですか?」
何の気なしに訊いた静蘭だったが、その途端絳攸のこめかみに青筋が浮いた。
楸瑛は思わず吹き出した。
絳「____その公務のためにだな、聞きたいことがある」
自称『鉄壁の理性』絳攸は、その称号にかけてなんとか怒りを押さえ込んだ。
「楸瑛様、絳攸様……?」
突然聞こえてきた第三者の声に驚く三人。
扉の外から中を覗いていたのは、Aだった。
楸「ああ、A殿、どうも」
名「ええ、こんにちは。絳攸様も」
絳「こ、こここんにちは/// A殿!今日はいい天気ですね!」
名「……?そうですね、いいお天気で良かったです」
顔を赤くしながらメチャクチャなことを言う絳攸に疑問を覚えながらも、A は言葉を返した。
ふと、静蘭に目を向けるA。
名「あれ、あなたは?」
静「申し遅れました、私は左羽林軍に所属することになりました、茈静蘭と申します。以後お見知りおきを」
そう言いながら跪拝の礼の形をとる静蘭。
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フローラ(プロフ) - かなとさん、ご指摘ありがどうございます! (2019年2月27日 18時) (レス) id: 36855b5a89 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年2月27日 18時) (レス) id: 32a3956d03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フローラ | 作成日時:2019年2月27日 17時