第10話 ページ13
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客間に着いたとき、部屋から聞こえてくる談笑に秀麗は意外そうに眉を上げた。
秀「……話がはずんでるみたいね。父様に話術の才なんかこれっぽっちもないはずなのに」
秀「趣味でも合ったのかしら?」
もしくは霄太師が話を合わせてくださっているか…
多分、いや絶対、後者だろう。
秀麗が表情を引き締めるのと同時に、静蘭が部屋に入った。
主と客人に向かい、膝をつく。
静「____秀麗様、お戻りになりました」
邵「おお、そうか」
にこにこと柔和な笑みを浮かべて立ち上がった男こそ、この邸の主、紅邵可である。
まだ四十そこそこの彼は髭を生やしておらず、ともすれば三十にも見えてしまうほど若く見える。
邵「あの……その……お茶の用意は……?」
モジモジと呟く主に、静蘭が思わず笑う。
静「お嬢様が持ってらっしゃいますよ。旦那様のお好きな小豆のお饅頭もございます」
途端、パッと邵可の顔が輝く。
素直な反応に静蘭は思わず吹き出しかけ、慌てて腹に力を入れる。
さすがに声を出して笑うのはまずい。
ここにいるのは邵可だけではないのだ。
何とか真面目な表情を取り繕うと、静蘭は扉をゆっくりと開いた。
秀麗はすべるように中に入っていくと、持っていた盆をいったん卓子の上へと置いた。
そして三歩下がり、跪く。
秀「____秀麗、ただいま戻りました。霄太師におかれましては、此度の私の留守、まことに申し訳なく思っております。」
秀「長らくお待たせいたしましたこと、深くお詫び申し上げます」
秀「さしたるもてなしも出来ませんが、どうかごゆるりとおくつろぎ下さいませ」
両手を胸の前で組み合わせての、完璧な跪拝の礼。
その一挙一動を注意深く見守っていた老君は、ゆっくり頷くと腰を上げた。
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フローラ(プロフ) - かなとさん、ご指摘ありがどうございます! (2019年2月27日 18時) (レス) id: 36855b5a89 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年2月27日 18時) (レス) id: 32a3956d03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フローラ | 作成日時:2019年2月27日 17時