春待ち桜 (ページ22)

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雪待月ページ22

百合は

例えるなら、大輪の花のよう華やかだ

それは、大学時代から変わらない

よく笑い、よく喋る

表情も豊かだ

女のお喋りは、別に嫌いじゃない

それが、着地点の分からない冗長したものでなければ尚更いい

愛嬌も、あるに越したことはない

ただ、華のある女は結婚に不向きだろうな、と思っている

.

「フィアンセはどんな人？」

ベッドの中でそう聞かれて

「百合とは真逆」と答えた

クスクス笑いながら、どういう意味？と聞き返すから

そのままだけど？とキスで返した

「それって、誉められてるのかしら？」

不服そうにベッドから降りる滑らかな身体のライン

動く度に揺れる緩く巻かれた髪

手入れの行き届いたネイル

少し濃いめのルージュ

君には無いものばかり

元来、俺はこんな華やかな女が好みだと思う

君とはまるで真逆だが、でも、その方が結婚には適しているのかもしれない

そんな打算的な考えも悪くはないと思う

「真逆なんだよ。」

バスルームに消えた背中に呟いた