紅染月 ページ15
「どうする？教会式と神前式。」
「どちらでも構いません。」
「そう、じゃあ、こっちで決めるよ。」
.
「ブライダルフェアに行ってみる？式場の目星は付けてるんだけど。」
「ブライダルフェア、ですか。」
「実際のイメージがつきやすいと思うよ。」
「そうですね、では、行きます。」
「分かった、今度の日曜で予約しておく。」
.
「そろそろ招待客のリストアップをしておいて欲しい。」
「分かりました。今度会う時まででいいですか？」
「もう少し早めに確認したいから、メールで送ってくれればいいから。」
.
「料理も美味しいし、ここに決めてもいいかもしれないね。君は何かある？」
「いえ、大丈夫です。櫻井さんが決めてください。」
.
夏空が広がり、暑さのピークを迎える頃、本格的に式の準備を始め
連日のように君と遣り取りしている
会って直接はもちろん
電話だったり、メールだったり
でも、いつも君は気の無い返事ばかり
まぁ、君らしいんだけど
「お任せしてすみません。」
どうやら申し訳ない気持ちはある様子
「いや、段取りをつけるのは嫌いじゃないよ。もともと、スケジュールを組んでこなしていくのが好きだし、苦にならない方だから。」
「楽しそうですよ、とっても。」
本当にそう思っているように言われたから
「そう？まぁ、こういうプロセスは楽しんでやらないと。」
何でもないことのように言った
「欲を言えば、もう少し君の意見を聞かせて欲しいんだけど？」
「結婚に感心がなかったので、どこから手を付けて良いのか分からなくて。」
「女の子は憧れる時期があるんじゃないの？」
「...子どもの頃は、単純にドレスが綺麗だなと思ったことはありますよ。」
そう話す君は
「顔が赤いけど？」
「気のせいです。」
見せたことのない顔をする君を、可愛らしいと思ってしまい
「耳まで赤くなってる。」
耳にキスすると
「だから、気のせいです。」
可愛くないことを言う唇を塞いだ
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作者名：雪乃 | 作成日時：2019年11月27日 16時
