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『ここで聞いたことはどこにも誰にも流しません。なので帰っていいですか』
「アンタの言葉信じていいわけ」
『信じるかどうかは任せますが…言わなくてもいいことは他所で言うメリットないので。
言いませんよ、ジョングクさん』
変なことに巻き込まれるのはごめんだ
私は今、自分の人生を生きることで精一杯なんだから
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ボロボロのアパートの2階
外観とは違いわりと過ごしやすい家が私の居場所
診療所と家の往復をする毎日
変わり映えのない毎日
そう、これが私の毎日なんだ
今日のことはイレギュラーで非現実なことで、私の人生とは無縁の出来事なんだから
テヒョンさんのことは患者以上には見れない
見てはいけない
あの人にこれ以上関わるのは危険だ
家のドアを開けて、手を洗って、寝室へと向かう
これがルーティン
『ただいま、お母さん』
ベッドに横たわり、小さな声で「おかえり」と笑んでくれる私のお母さん
大好きで誇らしいお母さん
私の生きるための道しるべのお母さん
父が借金を母に押し付けて失踪してからもう5年
昼夜問わず働いて借金を返す日々のお母さんに限界が訪れてもうすぐ2年
癌という悪にむしばまれたお母さんはも自分の力だけでは立ち上がることができない
入退院の繰り返し
お金の余裕なんてなくて大きな病院で見てもらうこともできず
いつ死んでもおかしくないと毎日怯えながら過ごす日々
『今日はお粥食べれそう?』
小さくうなずいて、私の手を握ってくれるお母さん
弱い力、細い手、ほぼ皮と骨しかない
そんなお母さん
今の私にはお母さんを守っていくことしか考えられないんだよ
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作者名:りー | 作成日時:2023年10月24日 11時