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それまでずっと前を向いていたテヒョンさんが
眉を下げながら振り返った。
楽しい、楽しくないの問題じゃないでしょ
こんな傷たちを背負ってなんであなたは笑っていられるんだろう
私は看護師で
彼は患者で
昨日会うまでは知らない人だったのに
なんでこんなにもこの人の傷を見て心が痛むんだろう
「…泣かないで、お姉さん」
『泣いてないです』
「ウソが下手だねぇ。」
何故か勝手に出てくる涙たちにテヒョンさんは困ったように笑って
大きい手で拭ってくれた
「お姉さん、お名前は?」
『Aです』
「Aちゃん…これからも俺のお世話、よろしくね?」
にっこりと笑って
恐怖を感じるほどの美しい顔
怪しい香りを漂わせるこの男と出会ったことから
私の歯車は考えもしない動きをし始めた
とんでもない環境に足を突っ込んでしまったのかもしれない
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作者名:りー | 作成日時:2023年10月24日 11時