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今私の目の前で寝ている患者はテヒョンという人らしい。
ユンギさんの知り合いで、正面からではなく裏口から入れる唯一の患者
『それってただ危ない人ってことですよね』
「まぁ…人間、いろいろあるんだよ」
テヒョンさんの右腕は明らかに誰かに傷つけられたものだった。
多分、ナイフかなにかで切られた感じ。
患部を見たときに傷の深さにびっくりしたし、出血量もひどかった。
彼はAB型でウチの診療所には十分な輸血できないだろうって思ってから
秘密の部屋からなのか隠し扉からなのかテヒョンさん専用の輸血セットを
ユンギさんが持ってきたときは心底ワケが分からなかった。
「てことで、とりあえずお前はテヒョンの様子見といて」
縫合も輸血も問題なく終わり、ユンギさんの寝床で眠るテヒョンさん
本当の診察室には別の患者さんが来ていた
『私も対応します』
「いいよ。お前がウチに来る前は俺1人だったんだから対応できるわ。
こいつの世話はお前がしてやってくれ。よろしく。」
そう言い残し、診察室へと消えていった。
たしかに私以外の助手いなくてよく回ってるよね。
小さいといっても
なんだかんだ夜間の診療所って忙しいんだけど。
『綺麗な顔だなぁ…』
「どうも」
『はっ!?』
あまりの綺麗さに顔を覗き込んだ私が悪いけど
まさか起きてるとは思わないじゃない!
目の前の患者ことテヒョンさんが
目を開けた瞬間バッチリ目が合って
思わず後ろによろけて尻もちついてしまった
『起きてたんですか…』
「ついさっきね」
『麻酔切れるにしては早いですけど』
「俺ね、耐性あるからあんまり効かないの」
『え…じゃあ縫合中痛かったんじゃ』
「痛みは大丈夫。単純に麻酔切れるのが早いってだけ。
俺の心配してくれるなんてお姉さん優しいね」
『患者さんなんでそりゃ心配しますよ』
よく寝た〜と伸びをする目の前の男は人生で見た誰よりも綺麗で
誰よりも危険な香りがした。
近づきすぎるとやばそうだなと本能が叫んでる。
目を覚ましたことだし…ユンギさんの手伝いに行くべきだ!
そうだよね!
『じゃあ安静にしててくださいね〜』
「どこ行くの?」
『そりゃあユンギさんのお手伝いに』
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作者名:りー | 作成日時:2023年10月24日 11時