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あれからジミンさんは
映画で見るようなアタッシュケースに
大量の札束を詰めて現れた
こんなにいらないんだけどと返そうとしたけど
口止め料と突っぱねられ、甘えていただくことにした
あと
多めに返せば満足して付き纏われないかもじゃん?
と今後の私の身の回りに対し
気を配っているようにも見えた
めちゃくちゃ怖い、気配りに震えた
やっぱりこの人はあの取り立て屋より怖い気がする
この先、命狙われる前にとびたいな…
お母さんのことはユンギさんに託そうか
人間というものは考えることに疲れたら思考を放棄するらしい
まさに今の私
『お母さん…今日、人からお金借りたの。
ひとまずこれであの怖い人達は来なくなると思う。
でも借りた相手がいい人かって言われると分かんない。
きっとジミンさんも怖い人だろうし…テヒョンさんはもっと怖い人なのかも…』
ジョングクさんやジミンさんの上に立つ人物。
それがあのテヒョンさんなのがにわかに信じがたい。
病室で見たテヒョンさんは怖いとはかけ離れたほど、
空気が柔らかいし笑顔も溶けるような。
それでも診療所に運ばれてきたときに見た
獣のような眼と
彼の身体についている傷の量を考えるとかなり危険な人物なんだろうな。
もうテヒョンさんのことは忘れるべき
怪我の状態が落ち着けば出ていく人
そうそう関わるような相手じゃない
それなのに雨の中、手負いの彼から感じた
飢えた獣のような鋭い眼が私の脳みそに深く刻まれて離れない
畏怖よりあまりの美しさに惹かれてしまう
吊り橋効果的なことなんだろうか
絶対関わってはいけない人種だし、身の危険を感じるし。
正直。
どう考えても生きる世界も規模も違いすぎる。
でもあの眼にもう一度会いたいと思うの私は気がふれてしまっているのだろうか。
『平穏に淡々と生きているだけで充分だったはずなんだけど』
ボソッと呟いてみたってなにも変わらない。
誰も答えてはくれない。
空気の中に飲み込まれていった。
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作者名:りー | 作成日時:2023年10月24日 11時