バレー部の俺と、特進科の彼女【宮侑】

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「そんでAは相変わらず褒めてもろてるん？」

「そないなことあるわけないやろ。もっと偏差値上げと言われ続けてるわ。」



“これ以上やったら壊れるんに”と続けたAはやっぱり苦笑いやった。



“壊れる”



その言葉は、妙に重かった。



稲荷崎高校特進科 一期生 首席



彼女はこれらのレッテルが貼られてる。



多分それは、“高校No.1セッター”より重いもんで。




「まぁ頭脳特待もろてるから期待には答えなアカンけどな。」



少し寂しく笑ったAは放っておけばどことなく消えてしまいそうで。



「…俺は知っとる。Aの頑張りも全部知っとる。」



電車の中には俺たちしかおらず、その中は寂しかった。



「私も知っとるで。侑くんの努力。」



こんなに遅くまで残ってるんやもん。と言うA。



誰にも見てもらえていなかったものをみてもらえた様な気がして、少し心が弾んだ。



きっとそれは、二人とも。



「やっぱ見てもろえてるっていいな。」

「おんなじこと考えてたわ。」

「ホンマ？それはいいやん。」



少し、少しだけたけど、俺に心を開いてくれた気がした。

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