バレー部の俺と、特進科の彼女【宮侑】

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「こんにちはー…」



女子マネのいないバレー部からは聞こえるはずもない声が聞こえてくる。

その声の持ち主なんて顔を見んでもわかった。



「…ツムに客とは珍しいこともあんのな。」

「僻みか？せやったら足りてるで」

「死ね」



制服を着崩すことはなく、清楚な印象を与えるAの立ち姿。

その右手には黒いものが握られとった。



「これ、侑くんのサポーター…」



北さんが対応して、俺が呼ばれる。



「あー…どこにあったん？」

「橋立先生が拾ってくれはってた」



んの爽やか野郎。

確かに世話んなったけど俺は自分を許した覚えないで。



「後でお礼言っとき」



誰 が 言 う か 。



と思いながらも俺は目の前の奴の頭に手をのせる。



「わざわざありがとうな」

「…へっ。いやっ。これくらい、バレーファンとして当然やし…」



目線を逸らしながら言うその姿は変に可愛かった。



「んじゃ、今日の帰りに。」

「おん。またな。」



タタターと体育館と校舎が繋がってる道を駆けてくAの背中を見送る。



「ダブル宮が臨時マネ頼みたい言うてたんはあの子？」

「…まぁ、はい。」



アランさんが言うその言葉に頷くとクツクツと先輩は笑った。



「下心丸見えやん」



笑いなからいう先輩に対して後頭部サーブ狙ったんは内緒や。



「今侑狙ったよな？！」

「狙ってませーん」



アイツに惚れるんは俺だけで充分やねん



4歩歩いてサーブを打ち始めた。

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