・ ページ20
.
「あ、ちょA海の方行かないでよ!」
「あはは!福良さん心配しすぎですよ!」
私が駆け出して直ぐに、二人も私の方へと向かって走り出した。
あの時の情景が忘れられないらしい2人は、今でも私が1人で出かけると必ず電話とLINEを定期的にしてくる。
「そりゃそうでしょ…またそういうことされたら困るもん」
26過ぎの大人の男の“もん”も何となく可愛くて笑ってしまった。
「えいっ!」
「え、ちょ!!」
福良さんに海の水をかけて、私はそのまま波打ち際を全力で走った。
「よっと…」
「うわ、濡れた!!」
拓司に先回りをされていて、そのまま水をかけられる。
やられたらやり返して、やったらやり返されて。
そんなことをしていると、気がついたら3人ともずぶ濡れだった。
「…ねぇ、拓司、福良さん」
水平線の向こう側には、夕日が沈んで行っているのが見える。
赤色に染められた海を見つめながら、2人を呼びかけると、タオルを取りに車に向かっていた2人が、足を止めて私の方を見てくれた。
「この場所は、分岐点だけじゃなくなったね」
夕日が二人を、少しだけ赤く照らした。
夕日の眩しさに2人は目を細めながらも、笑みを浮かべる。
「思い出、つくれた?」
拓司の言葉が、胸に刺さる。
福良さんも、拓司も、この場所を私にとって悪いだけの場所にしたくなかったんだと言うことに、今になって気づいた。
ワタシにとっても、私にとっても、最悪の思い出のつまっているこの場所。
「うん、最高の思い出だよ!」
それが今、最高の思い出の地に、生まれ変わった。
213人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
虹希(プロフ) - sekainoowarilovさん» 期待以上のストーリーに仕上げることができていたでしょうか。それなら本当にうれしいです。話のまとまり出会ったり、収束が付いていないのではないかと不安だったので…。これからも虹希を応援していただけると嬉しいです。 (2020年1月6日 17時) (レス) id: 637c3be836 (このIDを非表示/違反報告)
sekainoowarilov(プロフ) - リクエストありがとうございます!!期待してた以上に素敵な作品でほんとうに、素敵です(語彙力) (2020年1月6日 17時) (レス) id: 8cc800abef (このIDを非表示/違反報告)
虹希(プロフ) - 京北わかさん» ご期待に添えていたら幸いです。これからも虹希を応援していただけると嬉しいです! (2020年1月6日 13時) (レス) id: 6f6e5985a0 (このIDを非表示/違反報告)
京北わか(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございます!とっても良かったです! (2020年1月6日 9時) (レス) id: 4e915e623c (このIDを非表示/違反報告)
sekainoowarilov(プロフ) - 虹希さん» 虹希さんのかわかみかっぷるなども拝見していてほんとうに毎日ニヤニヤしているのでこちらこそありがとうございます!! (2020年1月6日 8時) (レス) id: 8cc800abef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ