_izw ページ35
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「…急にどうしたの?」
「やっぱり照れないかぁ」
きょとんとした表情で私を見てくる拓司にそうやって返すと、彼は苦笑いを浮かべる。
「俺を照れさせたくて?」
「まぁ…ざっくり言うと」
あはは
そうやって笑うと、彼は私の背中に手をまわした。
当たり前だけど、私の目の前には、拓司の鍛えられた胸があって。
「…Aさ、俺の鼓動、聞いたことあったけ」
「え…ない、かな?」
“そっか、それなら仕方ないか”
そう小さく呟いたのち、彼は私の後頭部に手をやった。
右耳を胸に押し付けられると、とくとくと、成人男性にしては速いペースでリズムが刻まれている。
「…ね、わかる?」
それに交じって聞こえた拓司の甘い声に、私の顔に熱が集中した。
ああもう、これだから勝てないんだ。
こくこくと頷くと、彼はそっと私の頭を撫でる。
「Aといるだけで、俺は緊張するし、それだけで照れるって言うか…まぁ、わかりやすく言うとドキドキしてんの」
“だから、あんま可愛いこと言わないで”
そんな言葉とともに、拓司はそっと私の耳にキスを落とした。
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