サンタさんの正体は?_fkr ページ21
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「Merry Christmas!!」
発音が良すぎるあの挨拶が、俺の鼓膜を揺らす。
「おはよう」
「福良さんおはよう。もう少し反応してくれても良かったんじゃないかな」
赤色の箱を掲げるAに対して、俺は緑色の箱を掲げた。
「考えることは…同じようだな…」
彼女はそう言うと、リビングの入口付近にいたのに、ズカズカとリビングに入ってきた。
「いくら合鍵を渡しているからって急に入ってきたらびっくりするからね?いい?」
「はぁーい」
しょんぼりとした顔になったAを見て、何故か申し訳なくなった俺は、Aの目の前に緑のそれを置いた。
「これ、サンタさんからだよ」
「え!ほんと!?」
幼心を忘れない彼女は、今でもサンタクロースの存在を信じている。
そして、経済学的にサンタクロースの財力を記事にしていたこともある。
面白い視点だなって思ったし、なんならそれを考えたこともなかったのに。
彼女の純粋さが、その面白さを引き当てていくんだ。
「今年はくれるのかぁ、サンタさんありがとう!」
いもしないサンタクロースにお礼を言っているこの光景は、傍から見ると滑稽なものなのだろうか。
それでも俺は、今でも純粋にサンタクロースを信じているAのことが好きだ。
「来年もいい子にしようね」
「うん!」
来年のプレゼントは、もう決めているのだけど。
意地悪なサンタさんは、それを黙っておくね。
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