Another Story

必要なのは君だから＿kwmr ページ7

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「あー、ちょっと待っててください。もうすぐ準備終わります」



いつも機材を用意してくれているスタッフのAさんは困ったように微笑む。



「最近機材トラブルが多くて…。本当、困っちゃいますよね」



愚痴をこぼしながらも必要な機材をいつもそろえてくれているのは彼女ってことは俺もよく知っている。



「あ、じゃあ後は任せてください。河村さん、動画企画でお忙しいですよね」



東京藝術大学を卒業後、大手のテレビ局の音響として活動していた彼女をここQuizKnockに誘ったのは紛れもない編集長だった。



なんで誘ったのか、って聞いた時には“彼女なら、俺たちのやりたいことをちゃんと理解してくれると思ったんだよね”と返された。



でも実際、この人は俺たちのやりたいことに理解を示して、藝大生だったころの知識や面白いと思ったことを記事にしてくれている。



しかも今度は藝大卒のブランドでフリーのサイトデザイナーとして働き、その売り上げの４割をQuizKnockの資金に充ててくれているほど。



そっちのほうも順調らしいし、実際QuizKnockのサイトデザインも任されてくれた。



「無理、しないでくださいね」

「えっ」



ファンデーションで多少は隠されているものの、目の下には隠しきれていない隈が見えていた。



「…現役の皆さんのほうが」

「違いますよ」



“私の代わりは何人もいるはずです”と笑った彼女の頬を抓る



「いひゃいれふ」



グイーンとひぱったまま、俺はつづけた



「Aさんが倒れたら、俺が困る」



そういうと、なんだか照れくさくて、思わずその部屋から立ち去った

遠回しにしか言えなくて＿mzkm→←友情の証に乾杯を＿hkr

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