Another Story

君からのが欲しいんだ＿mzkm ページ48

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皆さんは、“東大医学部のプリンス”をご存じですか？



知らないはずがないって？そうですよね。

彼は『 東大王 』の大将。



並外れた知識量に加え、圧倒的カリスマ性を持つ天才肌。



勿論ここでも、有名人の一人だった。



「先週の東大王、すごかったよね」

「あれだけ知識蓄えられてしかも医学部とかもはや次元が違うのでは」



私は、ごくごく普通にいる、普通の大学の理学部の院生だ。

特別目立つ技術や発想力を持っているわけでもない。



唯一人と違うとすれば、とあるメディアのライターをしているってことくらい。



「…Aはどう思った？」

「…へっ」



白衣が似合う、リケジョたち。

私がこんなにキラキラした子たちと関われているのも、オプションがあるから。



「ごまかすなよ〜。彼氏の活躍見てどう感じたの〜」

「えっと、いや、あいつはただの幼馴染っていうか…」

「またまたー」



ああ、心底面倒だ。



「いいよねぇ、あんなイケメンと幼馴染とか」

「あこがれるし！…にしても、A鈍感すぎない？」

「Aは数式にしか興味ないから」



いつだって、この時期になると私はあいつとは距離を置く。

理由は単純。



あいつが抱えるチョコを、見たくないから。



彼女でもないのに、おかしいよね。



「あれ、水上さんじゃん。」

「え」



“Aに会いに来たんだよ”と茶化す友人を置いて、私は走りだした。



「あのさ」

「…何。この時期はいつも颯とは距離をおいt」
「俺は、お前からのが欲しいんだけど」



さえぎって、そういった彼は、少しだけくすぐったそうだ。



「なに、いって」

「聞こえなかった？」



“俺、お前からのチョコが欲しいんだけど？”

その言葉は、私の頬を赤く染めるには、十分すぎた。

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