Another Story

同じ空の下＿sgi ページ19

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電話のコール音が耳に響く。



早く出ろよ、なんて心の中で急かしていた。



『Hello?(もしもし)』



アメリカに飛んでからもう3年が経つのかと少ししんみりしながら考えていた。



「あー。俺」

『オレオレ詐欺なら足りてますが？』



先程の流暢な英語とは打って変わった滑らかな日本語。



この声が聞きたかったんだな、なんて思いながら俺は彼女の返信を笑い飛ばす。



「分かってるくせに」

『あはは、ごめんね。須貝の反応楽しくてさ。』



向こう側から英語の会話や洋楽が聞こえる。

カフェにでもいるのかな。



『Is it boyfriend?(それは彼氏?)』



早口に捲し立てながら彼女に迫る少し高い声。



『No.Unfortunately(彼氏じゃないよ。残念だけど)』



電話口でその声の持ち主であろう人が“Sorry”と笑いながら言うのを彼女も笑ってあしらっていた。



『それで、何の用？』

「声聞きたかった、ってだけじゃダメ？」

『あー、ハイハイ。アニメで補って』



そう言えば、日本にいた時“なんで私に拘るの”って聞かれたっけ。



その時俺は多分、“お前が俺の推しに似てるから”
そう答えた気がする。



本気にしてんのか、なんて思わず笑いだしそうになるのを堪える。




「須貝くん、ここだけど」

「あっ、はい！今行きます！！」



折角の機会なのに、舌打ちしそうになったのを堪えた。



時差の関係で9時くらいにしか連絡が取れない。



こんな夜遅くまで研究に明け暮れる俺も俺だな、なんて思いながら息を吐いた。



「残念だけど」

『問題ないよ。いってらっしゃい』



その声がふわりと頭に残った。



電話を切ったあと、空を見上げる。



東京の星空なんて、霞んでて、それでいて明るすぎて何も見えない。



それでも、俺は思わず笑顔を浮かべた。



同じ空の下。

君はアメリカで研究をしている。

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