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川上side
思わず出てしまった本音に、思わず口を噤んだ。
これじゃあ、俺がAさんのことを好きみたいじゃないか──────
確かに彼女のことを好いていることには間違いない。
間違いないが、伊沢さんと彼女が付き合っている今、こんなことを言っても彼女の足枷になるだけだ。
まして、頭のキレる彼女のことだ。
この真意なんて、いとも簡単に汲み取るだろう。
「そっか。拓朗くんは優しいんだね」
その言葉に、今度は頭を抱えたくなった。
きっと、今の俺の感情も読み切っての発言だ。
「…すみません」
俺の言葉に“何が？”とキョトンとした顔でそう言った彼女は、相変わらず優しかった。
気づいていないフリをしてくれていたのは一目瞭然だったし、なんなら彼女のその想いを汲み取れてしまう自分も嫌だった。
「早くやろうよ。ペーパークイズ」
シャーペンを握りしめた彼女の横顔は、彼女の知的さを際立たせた。
同期という訳でも、同じ学部という訳でもない彼女のそんな姿を、今までも見たことがなくて。
…これ以上、Aさんに溺れたらどうなるのだろうか。
そう感じさせるものも多かった。
「俺が勝ったら何してくれるん？」
「えー…ペナルティつきかぁー…」
彼女にクイズで勝ったことがないくせに。
精一杯の強がりだった。
「じゃあ、負けた方は美味しいもの奢りね」
「一緒に行くん？2人で？」
「うん」
…それは、負けても俺にとってはペナルティにはならない。
「ええよ。そうしよう」
彼女のそんな言葉に、勝手に心を踊らせる自分がいた
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