Accueil【伊沢拓司】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:129,037 hit

4. ページ5

渡辺side

「ほら、乗って。大丈夫だから」

「…ほ、ほんとにいいの…？」

オフィスの中でも、車椅子を乗り回すのは申し訳ないと言った彼女に、伊沢さんがおんぶの提案をした。

それでもAさんは躊躇していて、伊沢さんは大きく息を吐いた。

「乗らないなら…こうするけど」

「ひえっ…」

Aさんの膝裏と腰の辺りに手を通した彼は、そのまま彼女を持ち上げた。

「…何やあのイチャつき具合」

川上さんが呆れたように呟くと、撮影部屋を後にする。

「川上もAに本気だったから辛いだろうな」

須貝さんの“川上も(・)”という発言に思わず振り返った。

「…須貝さん？」

「えっ、こうちゃん今の発言聞いてた？！忘れて？！」

焦ったように俺を諭す須貝さんに、疑惑が確信に変わってしまった。

「好きだったんですね。Aさんのこと」

俺がそう言えば、須貝さんは諦めたように笑った。

「好きだよ。今でもずっと」

“でも俺はナイスガイなので二人の邪魔はしません！”

きっと、今の須貝さんの顔を見たらAさんは顔を顰めるんだろうな、なんて思いながら俺はAさんと伊沢さんを見つめる。

「Aさん復帰早々前途多難…」