Accueil【伊沢拓司】 (ページ21)

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伊沢side

「…お風呂手伝って」

…さすがに俺もこれはやばいと思った。

大丈夫、さすがにそこまでおちてないから。

「…今まではどうしてたの？」

「…看護師さんに身体拭いてもらっておしまい」

ぷいっと横を向く彼女に、下半身不随は本当に大変だということを思い知らされた。

骨折した時も大変だったけど、これと比べたら足元にも及ばない。

「……」

懇願するように俺を下から見つめる彼女に、やはり耐えきれず頷いてしまった。

…いや、普通に俺平常心保てるかな…

俺は腰にタオルを巻き付け、彼女の身体にもバスタオルを巻き付ける。

俺が手伝うのは湯船に浸かる瞬間と、バスチェアに座る瞬間の合計4回。

「よし、行こうか」

彼女の膝裏と腰に手を通し、いつものように持ち上げる。

バスタオル越しに彼女の素肌があると思うと、そのまま捲りたい衝動に駆られそうになる。

「(平常心、平常心…)」

多分この時の俺は、あのセンターの数①の残り5分とほぼ等しいものがあったと思う。

「ん、ありがとう拓司」

そう言って綺麗に微笑むから、俺は平常心ではいられなくなるんだ。

「…彼氏ですから」

今の彼女に、手を出すつもりは無い。

幾度となく手を出しそうになると思うけど、彼女が全快するまでは。

「俺が洗い終わるまでは待っててね」

こくんと頷く彼女の頭をふわりと撫でた。