Accueil【伊沢拓司】 (ページ18)

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伊沢side

「…す、好きです…」

「ハハッ、なんで敬語なんだよ」

頬を紅く染めながらそう言った彼女。

普段はA自ら告白(爆弾)を落としていくくせに、こうやって改まって言うのは恥ずかしいらしい。

「…具体的に言った方がいい…？」

おずおずと聞いてきた彼女をふわりと抱きしめた後に、俺は彼女の腰と膝裏に手を通した。

「ソファー行こうか」

「ん、わかった」

俺の首に手を回す彼女に一瞬クラリと来たが、怪我人に手を出すほど俺も野暮じゃない。

「拓司の話を聞きたい」

「俺の話かぁ…。じゃあクイズ史について話す？」

「それは病院で聞いた」

“私の知らないことを話してよ”

そう言いたそうな目を俺の手のひらで隠した。

彼女の知らないこと

知識豊富な彼女が知らないことというのは限られてくる。

「…んー、じゃあAが知らなさそうな時事問題？」

「ほんとに！？」

彼女の食いつきように思わず吹き出してしまった。

「うん、じゃあ…」

俺が話出そうとした時、自分の目にあった俺の手をそっと退けた彼女。

「ん？どうかした？」

「…ちゃんと、拓司を見ていたい」

目を逸らしながらも、そうハッキリと言った彼女。

…こっちがどんな気でいるのかも知らないくせに。

「……あんまり俺を煽らないで」

君を、君の全てを欲しいと願ってしまうから。