Accueil【伊沢拓司】 (ページ15)

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「…どちら様？」

山本くんに車椅子を押されながら、オフィスに入ると、知らない男の人が2人立っていた。

「…あ、あなたが噂の！！」

「噂の…？」

私が疑問符をつけながら尋ねると、一人の男の人がニコリと笑顔を見せてくれた。

「綺麗な方がいるって、伊沢さんから聞いていました」

「そっ、そんなふうに言われてるんですか私…」

男性の声は少し高めで、でも澄んでいて。

とても聞き取りやすかった。

「でも想像よりもお綺麗ですよ」

屈託なく笑う彼に思わず私も笑みをこぼしてしまった。

「新しい子たち。志賀くんと山上くん」

「あぁ！あなたがたが！拓司からサラリと聞いていました。篠宮です。普段はAって呼んでね」

拓朗の紹介に合わせて頭を下げた彼らに、私も笑顔を浮かべながら頭を下げた。

「Aさんってなんのジャンルが強いんですか？」

「んー…これと言ってないなぁ…時事問題はちょっと弱いけど」

私のその言葉に、祥彰がちょっとだけ眉根を寄せた。

「それはAさんが今までずっと病院にいたからじゃないですか」

拓朗がその隣で頷いているのが見えた。

「…でも、今弱いと言う事実は変わらないよ」

そう言うと、2人は顔を見合わせて同時に吹き出した。

「Aさんらしいや」

拓郎が私に優しく微笑んでくれた。