Accueil【伊沢拓司】 (ページ27)

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「…うん、来週からちょっとずつリハビリを始めようか」

医者(先生)の言葉に、ホッとしたように拓司が息を吐いたのがわかった。

「よかったですね」

実習中だからだろうか、颯くんがドクターの隣にいて、ニコリと笑顔を浮かべながら私にそう言ってくれた。

その言葉に私が頷けば、拓司が颯くんにもお礼を言った。

「…いえ、僕は医者の卵として当然のことをしただけですから」

拓司と颯くんの間には、2人にしかわからない空気が流れていて、先生と二人で首を傾げた。

「篠宮さんわかる？」

「いや、分からないですね」

苦笑いでそう言うと、先生も苦笑いを浮かべた。

「東大王同士で固まらないでよ」

私がそう言うと、拓司も颯くんも謝りながら私の頭を撫でた。

「二人とも篠宮さんのこと大好きだねー」

先生のその言葉に拓司が満面の笑みで同意するのに対して颯くんは照れながら否定した。

「それにAさんは伊沢さんの彼女ですから」

颯くんのその言葉に、拓司が片眉を上げた。

同時に、私も息を呑んでしまった。

「…お前も」

絞り出す様に呟いた拓司に対して颯くんはいつものように笑顔を浮かべた。

「それに僕、彼女いますし」

「はっ？俺聞いてないけど？」

颯くんの言葉に拓司がそう言った。

でも、拓司も気づいていたと思う。

ほんの少しだけ、苦しそうに笑った颯くんに。