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「あ、Aさんに川上さん！」
「あ、祥彰だ」
「一緒にランチですか？」
“僕も誘ってくださいよ〜”
私と拓朗が頷くと、祥彰はいつもの可愛らしい笑顔を浮かべながらそう言った。
「しかも方角的にAさんの大好きなカルボナーラ食べていましたよね？」
その推理力に流石だとお手上げの気持ちを含めて頷いた。
「いいなぁ、僕も食べたかったぁ」
“あ、川上さん代わりますよ”
ずっと私の車椅子を押していてくれた拓朗に代わって、今度は祥彰が車椅子をそっと押した。
「リハビリとかはしないんですか？」
「まだ早いんだって」
“そうなんだ。早く出来るようになるといいですね”
その言葉からは、一切の嫌味も感じられず、むしろ心地よかった。
「Aさんは、なんでQuizKnockに入ったんですか？」
「入社理由？」
「…いや、加入理由ですね」
祥彰が困ったように笑ったのを見て、ジョークを言いすぎたのかもと少しだけ反省する。
「祥彰と同じだよ」
私が、QuizKnockに加入したのは、ただ彼に憧れたから。
真っ直ぐに向き合い、真っ直ぐに夢へと進んでいく彼に憧れたからだ。
「そして、拓司に必要とされているのなら、私は彼を支える立場にいたい、そう思ったからだよ」
「…そうだったんですか」
拓朗がいつもより少しだけ暗い声で私の回答に返事をした。
「祥彰は今日講義は？」
「僕水曜日はいつも午後からお休みなので」
ゆったりとした空気が、3人の間を流れる。
誰かが喋るわけでもなかったけど、この空間は心地よかった。
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