７話目。石川side ページ8
「ホントに３組楽しそうだよなー」
隣で欠伸をしながら言うのはチームメイトで俺たちの守護神の川口太一。
３組というのは雄飛とAのクラスで、担任は学校イチノリが良いと言われている英語の先生。
それに対し、俺たちの担任は静かで、眠気を誘う古文の先生。
業務連絡まで眠気を誘うってある意味才能じゃない？
「えー…それでですね、今年もインターハイではバレーが優勝しまして…」
今もクラスの半分は夢の中。
俺と太一みたいに話すのが残りの半分。
３年にもなると、大体の学校行事はパターンになっているし、説明を聞く気にもならない人が多い。
『え、先生彼女とデート行ってたの！？なんで！俺たち体育館に引きこもってたのに！』
『いやぁー可愛かった。』
『惚気は死んでからにしてください』
『お前ら、本気で鋏構えるな！』
隣からは、そんな会話が聞こえてくる。
「あー…おれも３組が良かった…Aいるし」
「ホントにAのこと好きだよな」
「だって好きなんだもん」
太一は高校２年の時からAと付き合っている。
太一自身、彼女にべた惚れだし、Aもなんだかんだで太一LOVEだから、お似合いカップルの完成。
Aがふわふわしてて、太一がしっかりしてるから、三組の担任、鍋谷先生には親子系カップルって言われていた。
みんなして、なんかわかるって声を上げて笑ったけど。
「いつもはふわふわしてて子供みたいだけど、部活になると人が変わるもんなー…」
俺が呟くと、太一は笑う。
「まー、それが彼奴でしょ」
なんだか少し、くすぐったい。
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