１３話目。武智side ページ14
「あー…Aー…」
口を開けば偵察部隊の名前を言う。
…こんなんがインハイベストリベロで良いの？面倒だよ？
「川口、今名古屋だって。」
監督からそう告げられると、太一のテンションが著しく変わる。
…ベタ惚れかよ。
「…じゃあ太一、彼女にかっこいいとこ、魅せよーぜ」
太一に絡みに行くのは、同じく彼女持ち、神谷雄飛。
…とかいう俺のも、ギャラリーで見てるけど。
「…んじゃ、レシーブ練やりますかー」
祐希の気の抜けた指示が通る。
…あ、今更だけど愛工大名電の人達は帰りました。
元々午前だけの予定だったからね。
「うぃーす」
次に控えるのは天皇杯。
中部地区ブロック大会でまずは勝たないとね。
今Aがパソコン使って調べている頃だし。
「太一のやる気がすげーな」
「実際そろそろ帰ってくる時間だしな」
そんなことを話していれば
「ただいまー」
よく通る声が体育館に響いた。
「…え、何でおでこに湿布つけてんのw」
「あー…祥充くんのスパイク、拾えてない人がいてー」
「もしかして、ずっとそくやって帰ってきたの？」
いつもは眉くらいまである前髪をおろしているのに、今日はあげていて。
太一は後ろで固まっている。
「ん？違うよ。今はあげてるだけー」
…だから目立たなかったんだ。
「…えーっと、それでね、ついでに清風高校のも集めちゃったんだけど」
俺たちは、最強世代とかキセキの世代とか言われるけど、それは違う。
…Aの徹底的な調べがあるから成立してるんだよね。
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