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「個室なんて用意出来たんですね」

「お前を誘い出すつもりだったからな」



“理想状態はお前がハニトラにかかった状態だったんだが”と呟く彼に私は肩を竦める。



「かかったフリをした方が良かったですか?」

「何言ってるんだお前。」



呆れたように呟いた降谷さんは“座れ”と吐き捨てる。


「そんな風に言わなくても」



私はそう言って降谷さんの向かいに座る。



「それで、お前の名前は?」



そう言われて、初めて私は私が一方的に彼を知っていたんだという事に気がついた。



「警察庁警備局警備企画課に在籍します、一ノ瀬Aです。日常生活は、南雲彩瀬という名前で送っています。」



“作家やってるのか。”



呟いた彼に、私は大きく頷いた。



「ご存知いただいてるんですか?」

「ああ、筋の通っていて、且つ予想出来ない展開を繰り広げるからな。シリーズ全てに目を通しているよ。」



前菜をフォークに取りながら私の目を見ずに淡々とだが、ハッキリと言ってくれたため、私は思わず笑顔が零れた。



力作をそんな風に言ってくれたから。



「あと、お前のことは上から聞いているよ。」

「…?どういうことですか?」

「まぁ、名前だけだったけど。」



降谷さんは私のことを知らなかったはずだ。



「僕がいない時に、僕の分の書類仕事を全て熟してくれてたんだろ?おかげで仕事が期日通りに終わった、と言っていた。だからこそあの組織にお前ら姉弟を送った、ともね。」



“出世街道だな。”



私の目を見ながらニッと歯を見せた彼に、思わず心臓が高鳴った。



「あはは…そうですね」



きっと赤くなっている頬を誤魔化すために、私は前菜を口に含んだ。

捌→←陸



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- Victoriaって勝利の女神と言う解釈であっていますか? (2019年12月24日 16時) (レス) id: ebdf59309e (このIDを非表示/違反報告)
虹希(プロフ) - ののいろ系女子さん» ありがとうございます!これからもよろしくお願いします (2019年1月20日 13時) (レス) id: 14232fb1c5 (このIDを非表示/違反報告)
ののいろ系女子 - 凄く面白いです!最初は降谷さんの姉だと思ってたんですが見てみるとちがくて、でもこれはこれで良くて、最高です!続き楽しみにしてます! (2019年1月18日 22時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:虹希 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年8月13日 10時

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