公安の最強姉弟【降谷零】

什玖 ページ20

江戸川side



「まるでとって付けたような名前ね」



“南雲綾瀬”と名乗る女性。



ミステリアスな空気を放つその女性は、最近人気のミステリー作家だった。



「南雲さんは、安室さんとどういう関係なの？」



アイスコーヒーをストレートで飲む彼女に声をかけると、彼女はちらりとこちらを見る。



ことん、とコップを置く音がした。



「さっきも言ったけど、単なる高校の先輩と後輩よ」



そういうや否や、ノートパソコンを広げてタイピングを始める南雲さん。



「それ、新しい原稿？僕も見たい！！」



身を乗り出すと、ジト目で睨まれる。



「人に見せられる段階じゃないわ。…余計な詮索はしない事ね」



ニッコリと笑いながら言う彼女に、思わず背筋が凍る。



「綾瀬、あまり小学生を怖がらさせるな。」



“はいこれ、僕の奢りだよ”と安室さんが彼女の前にパンケーキを置く。



「ご馳走様です」



頭を下げる彼女に、安室さんは“気にしないで”と返す。



「…少年、私のことを知りたい？」



パンケーキにフォークを入れ、口に運ぶ彼女に、俺は小さく頷いた。



「私は後輩(・・)。それは間違いない事実よ」



彼女の微笑みの、本当の意図を俺は知らない。

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