あなたのオアシス～2～ (ページ3)

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あの料理ページ3

閉店時間になり、ドアの看板を[close]に変えようと、お店の外に出た時だった。

「こんばんは。」

声がした方向に振り返ると、ニッコリ笑った櫻井さんが立っていた。

「こ、こんばんは。」

これから、この笑顔の素敵な男性からの好意を断るんだ…

そう思うと、不自然な笑顔になってしまう。

「…ごめんね？疲れてるのに延長営業お願いしちゃって。」

「い、いえ。いつも明日の仕込みとか、新作メニュー考えたりしてて帰りは遅いですから…」

目を合わせるのも躊躇してしまい、店の中に入りながら返事をした。

「今日は何を召し上がりますか？」

「そうだなぁ。…Aちゃんの得意料理をお願いするよ。」

私の得意料理…。

「…かしこまりました。」

「楽しみにしてる。」

私の得意料理は勿論イタリアン。

だけど、アレを作って話題の切っ掛けをつくろう。

きっと、勘の鋭い櫻井さんなら
気づくに違いない。

どんな顔をされようと、私の気持ちは揺るがない。

はぁ。好意を断るって、こんなに精神的に疲れるものだったっけ？

でも、自分に嘘はつけないよ…。