あなたのオアシス～2～ (ページ17)

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本当の気持ちページ17

櫻井さんから送られてきた住所にタクシーで向かう。

タクシーを降りると、私のアパートの何倍の高さだろう…

マンションを見上げながら、
改めてスーパーアイドルの凄さを思い知らされた。

マンションのエントランスのソファに座り、櫻井さんを待った。

程なくして深々と帽子をかぶった櫻井さんが到着し、私に目配せをした。

ついて来てって意味だと理解し、
少し遅れて櫻井さんの後を追った。

エレベーターに乗り、部屋のドアの前に到着した。

「散らかってるけど…どうぞ。」

「お邪魔します。」

広い玄関に長い廊下。

自分のアパートに招いたことを若干後悔する。

広々としたリビングにはシンプルだけどしっかりとしたソファとテーブルが置いてあった。

「なに飲む？この前飲んだワインもあるよ？」

「今日はお酒はやめときます。」

「そっか。了解。あ、でも俺飲んでいい？」

「あ、はい。もちろんです。」

櫻井さんに促されソファに座る。

あまり長居したら、気持ちを伝えるタイミングを失ってしまいそうで、櫻井さんが座ったら話始めようと決心していた。

「お疲れ。」

櫻井さんがビールと軽いお摘みと私のコーヒーを持って来て、ソファに座った。

「お疲れさまでした。…あの、今日は突然すみません。」

「全然いいよ。むしろ嬉しいし。」

「…あの。どうしても伝えたいことがあって…」

「…なんだろ？」

察しのいい櫻井さんの表情が曇る。

「…私、やっぱり、櫻井さんとお付き合いできません。」

「どうして？」

「私…他に好きな人がいるんです。」

あ言いたかった言葉を口にしたけど、怖くて櫻井さんの顔を見ることが出来なかった。

「…そうなんだ。」

「…はい。本当に申し訳ありません。それに櫻井さんのような素敵な方、私には勿体ないです。」

「…勿体ない？そんなこと勝手に決めてほしくない。俺が選んだんだから、自分を卑下するような言い方しないでよ。だいたい…好きなやつがいんのに何で俺とヤれんの？もしかして無理矢理されたと思ってる？」

「そ、そんなことは思ってないです。」

「Aは好きでもないやつとできんの？」

「ちがう…！私は櫻井さんを好きになろうと思って…」

下品なものを見るような目で私を見る櫻井さんと目が合い、恥ずかしくなってスカートの裾をぎゅっと握った。