あなたのオアシス～2～ (ページ15)

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私の気持ちページ15

「いらっしゃいませー」

「奥のテーブル空いてる？」

「はい。お一人様ですか？どうぞ。

お店が一番空いてる午後4時くらいに、帽子を深くかぶった、少し猫背の男の人がやって来た。

「コーラちょうだい。あと、あなたが飲むドリンク１つ。」

「え？」

変わったことを言うお客さんの顔を見ると、どこかで見たことあるような感じがした。

「あなたが飲みたい飲み物。どうせ客俺だけだし、少し付き合ってよ。

「えっと…それはちょっと…。」

「俺のことわかんない？ほら、あなたの彼氏と同じ仲間。」

猫背のお客さんはそう言って帽子を取った。

「あっ！」

「やっと気づいてもらえました？」

「ど、どうして…。」

「どうしてかっつーのはいいから、コーラとあなたの飲み物持ってきてよ。」

「はい…。」

いきなりのアイドル登場に思わず返事をしてしまった。

コーラと、アイスティーをテーブルに置く。

「ありがと。そこ、座って。」

二宮さんが真正面の椅子を目で指す。

「はい…。」

促されるまま座ると、二宮さんの質問が始まった。

「いきなりでごめんね。まず、名前教えてもらっていい？」

「天野Aです。」

「翔さんとはいつから付き合ってんの？」

「えっと、２週間程前です。」

「どっちから？」

「…櫻井さんからです。」

「翔さんのこと好きで付き合ってんの？」

「………えっと、好きなんだと思います…。」

「随分曖昧な言い方だね。」

尋問のような矢継ぎ早にされる質問に少し怖くなって言葉が詰まる。

「櫻井さんみたいな素敵な人が…こんな私を想ってくれているのに…お断りすることが出来ませんでした。」

「それって…好きじゃないのに付き合ってるってこと？」

「…す、好きになれるように努力してるところです。」

「好きって気持ちにってさ、努力するもんなの？」

「…………。」

図星だった。わかってた。好きって感情は心の内から溢れ出てくるもの。

努力して人を好きになるなんて偽物にすぎない感情だってこと。

「わ、わたし……。」

俯いて質問に答えていた顔を上げ、二宮さんの顔を見ると
私の気持ちを全部悟っているかのように、優しく微笑んでいた。

「うん。[わたし]、どうしたの？」

「私、別の男性が好きなんです。」

「そっか。俺から言わせてもらうと、AちゃんはAちゃんの気持ちに正直になった方が幸せになれるんじゃないかな？」

「私の気持ち…。」