あなたのオアシス～2～ (ページ14)

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親友ページ14

カチッ。

「ふーーー……」

タバコに火をつけ、ため息と一緒に煙を吐く。

正直、翔くんと顔会わせんのも辛いのに、
Aの生々しい話なんて聞けるわけねぇよ。

あの日、抱き締めたAの柔らかい細い体を、翔くんは知ってるんだと思うと…
悔しいのか寂しいのか虚しいのか
なんとも言えない感情で胸が苦しくなった。

一本吸い終えて、もう一本タバコケースから取り出そうとした時だった。

「おじさん。吸いすぎは体に毒ですよ。」

「ニノか…。」

「…やっぱり翔さんとなんかあったんでしょ？」

「………。」

「…なんかさー、俺らのグループって仲いいじゃん？仲いいからこそ、少しの歪みでガラガラと呆気なく崩れそうな気がすんだよね。」

「………。」

「だから、歪みができたら崩れる前にワタシがトントントンと直すわけですよ。
やっぱさー、５人揃ってのグループでしょーよ？教えてくんないなんて寂しーじゃん。」

やっぱりニノには敵わない。

俺たちはそれぞれ自分なりにグループのこと想ってるけど、ニノは人一倍想いが強いんだと思う。

「俺がわりぃんだよ。…俺が自分の気持ちに気づくのが遅すぎたんだ。」

「気持ち？」

「恥ずかしい話だけど…俺、翔くんの彼女の事好きなんだ。出会ったときは何とも思ってなかったのに、知らない間に好きになってた。
でも、気づいたときにはもう遅かった…。」

「それってさ、カキフライが美味いお店の子？」

「…うん。」

「女で歪みが出来るとはなー」

ニノは椅子に座ったまま背伸びをして大きなため息をついた。

「俺が諦めりゃいいわけだし、時間が経てば大丈夫。」

「大丈夫なわけないっしょ？！今でもこの有り様なのに。つってもどーすっかなー。
…その子は大野さんの事どー思ってんの？」

「わかんねーよ。時々、俺が期待するようなこと言うけど、あとから冗談だって言うし…。」

「………ふーん。その子の店ってどこなの？」

「え？！言わねーよ！絶対行くつもりだろニノ！」

「なーんだよ。ケチ！」

「ケチって言葉、絶対ニノに言われたくねーわ。」

俺の気持ちを聞いてくれるメンバーっつーか、もはや親友？のニノが居て、本当に良かった。

ほんの少しだけど、胸のモヤモヤが少なくなった気がした。