潮風のあなた【BTS】【JM】 (ページ25)

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25〜JM side〜ページ25

〜JM side〜

酔っぱらいを送り届けた後のことは何にも考えなくて、ホテルの廊下でもうここでバイバイかぁって思ってたらエレベーターを降りてきた人の声にビックリしたAが俺の手を握って部屋にいれてくれた。

危なかったって言葉から、俺のこと心配してくれて入れてくれたのか。

まだ一緒にいたかったからって訳じゃないよな…

わかってる。Aは優しいから俺の立場を心配してくれるだけ。

そう思うと胸がぎゅっとなって握られた手に力が入った。

手を握ってたのを忘れてたのか、ごめんなんて言って離されちゃって…

もっと繋いでいたかったのに。

せめてもう少しだけ一緒にいたかったから「疲れた」なんて嘘ついてソファに腰掛けた。

窓の外を見るとメンバーが泊まっているホテルが見えた。

こんなに近くにいるんだ。

日本にいるって思ってたから、今ここで、釜山でAと同じ空気を吸ってる事に感動すらしてる。

彼女の見た目はそりゃ当たり前に変わってたけど、幼い頃と同じ笑顔と面倒見の良さは変わってなかった。

ただそれだけで嬉しくなる。

小学生の時、学級委員長をすることになった事がある。立候補した訳でもなくて、成績がいい人が指名されるもんだから、まとめるのが苦手な俺にとったら地獄なわけで…

そりゃそれなりに頑張ってまとめようとしたけど、結構ヤンチャな子も多くてかなり苦戦してた。

そんな時に一緒になってみんなをまとめようと協力してくれたのがAだった。

『(大丈夫？一緒にやるよ)』っていつも声をかけてきてくれる彼女を好きになるのには時間がかからなかった。

始めは、俺とAを夫婦なんて呼んでからかう輩もいたけど、Aはそんなことには動じず毅然とした態度をとってたから、自然とからかわれることも無くなっていった。

俺はAが大好きで、学校の帰りに海に誘ったことがあった。

いつもはグループなんかで放課後遊びをしてたけど、その日は二人だけで。

秋も終わりかけの少し肌寒い夕方の海。

『(あ、ジミナ！おでん売ってるよ！)』

屋台のおでん屋さんを見つけて嬉しそうにはしゃぐ彼女が可愛くて「(これは食べるしかないでしょ！)」って俺も一緒にはしゃいてみたりして。

二人分のおでんを包んでもらって、石の階段に腰を下ろした。