碧の宝石 (ページ8)

今日:9 hit、昨日:2 hit、合計:29,759 hit

8 ページ8

「すごい…こんなとこ初めて来ました。」

二件目に移動した先は夜景の綺麗な会員制のbarだった。

「Aちゃんってリアクションいいよね。」

「は、はしゃぎすぎですよね…すみません。」

クククって小さく笑う二宮さんを見て顔が熱くなった。

「いや、さっきの店でもだけど、連れてきた甲斐があるっつーか。こっちとしては嬉しいかぎりですよ。
…こっち座りなよ。」

「あ…はい。」

カウンター席から少し離れたソファー席に座った二宮さんがポンポンと隣を叩いた。

遠慮がちに隣に座ると
「もっとこっちおいで。」
って言うから、思いきって近づいた。

「ふふ。Aちゃんてホント可愛いよね。」

「か、可愛くないです…」

「彼氏とかいんの？」

「居ないですっ！」

「ふふ。じゃあさ、俺のこと彼氏にしてくんない？」

「え…？」

突然の告白？に頭が真っ白になった。

「どう？ダメ？」

「ダメとかじゃないけど…まだお互いよく知らないし。」

二宮さんはかっこよくて魅力的だけど、正直初めてのデートで付き合うとかそんな話になるとは思ってもいなかった。

「付き合ってみて、ゆっくり知っていけばいいんじゃない？少なくとも、俺はもっと色んなAちゃんを知りたいって思ってるよ？」

耳元で呟くように甘い声で囁かれたら
首を横に振ることなんてできなかった。

ソファーの上で甘いお酒に甘い言葉を浴びて
いたら自然とホテルに足が向かっていた。

・

「…可愛い…A…」

私の上で切なそうな苦しそうな顔をして私の名前を呼びながら揺れるカズの顔は今でも忘れることはできなかった。