44*satoshi side* ページ44
一体、ニノはなに考えてんだろ…
急に電話してきて
「一緒に飲みません？」
なんて…
「10年ぶりだからゆっくり話したいじゃないですか。いろいろと。」
昔っから甘えるのが上手で
人にNoと言わせない話術。
あの頃はすげぇなぁってくらいにしか思ってなかったけど、今となっては少しだけ羨ましくもある。
俺がニノみたいだったら彼女はもっと俺に興味を示してくれたりするのかな。
駅のホームで抱きしめた
彼女の感触を思い出しながら眠りについた。
・
・
「おー、来た来た。」
仕事が終わって、ニノに誘われた店に入ると
俺に気づいたニノが手を振った。
いつも行くような居酒屋じゃなくて
ワインとか出してそうな洒落た店。
席に近づくと
店の壁で見えなかったけど
ニノ以外にもう一人座っていた。
「こんばんは〜♪」
俺に気づいたその女性が笑顔で挨拶する。
「あ…ども。」
まさか女の人も一緒だなんて思ってなかったから無愛想な返事をしてしまった。
ニノを見ると、俺を見ながらニヤニヤしていた。
「え、何。彼女？」
「違うよ。会社の子。可愛いでしょ？」
「あー…うん。」
ニノからゆっくり話そうとか誘っといて
彼女じゃない子を連れてくるかね…
まぁ、別にいいけど…
「初めまして♪大沢マキって言います♪」
「会社の子」がニコニコして俺を見ていた。
「大野です。」
とりあえず自己紹介をすると
ニノが苦笑いしながら
俺の自己紹介の補足を彼女にし始めた。
「大野智、32歳。俺と同じ大学卒業してて、今は某貿易会社のエース営業マン。ですよね？」
「なんで会社と部所まで知ってんの…？」
「電話番号教えてもらうついでに岡崎に聞いたんですよ♪」
ったく。岡崎のやつ
ペラペラしゃべるのは昔と変わってねぇんだな。
「某貿易会社ってどこなんですかぁ？」
「大した会社じゃないよ。」
「大した会社でしょーよ。社員規模、俺らの会社の倍はあるからね。」
「すご〜い♪その会社のエース営業マンなんてカッコいいですね♪」
猫なで声で褒めてくる大沢さんに少しだけ苦手意識をもちながらも
運ばれてきた生ビールに口をつけた。
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作者名：みーにゃ
| 作成日時：2015年9月16日 22時
