39*satoshi side* ページ39
なんであんなこと言ったんだろう。
黙っときゃバレないですんでたはずなのに
自分からキスしようとしたなんて言って
今さら後悔してる。
でも
あの碧色の澄んだ目に見つめられたから
黙ってることができなかったんだと思う。
彼女が自爆した俺に引いてしまうんじゃないかって思って覚悟してたけど、
「なかったことに出来ます！」
なんて断言されて
引かれるよりショックだった。
俺がキスしようとしたことをなかったことにするって事だろ？
普通、なんで？って思わねぇか？
理由を聞かれたところで何て説明していーのか自分でもわかってないんだけど…
彼女の寝顔見てたら
月に照らされてキラキラ光る海が碧色の瞳に映って綺麗だったことを思い出したんだ…
その瞳に吸い込まれそうになって
思わず目をそむけてしまった。
その、吸い込まれそうな瞳を思い出したから
キスしようとしたって、何の言い訳にもならねぇし、答えにならない。
理由を聞かれないことに少しだけモヤッとしたけど、今となっては聞かれなくて良かったって思ってる。
そんなことを考えながら
黙々と山の上の展望台に向かって歩いていると、彼女が話を振ってくれた。
俺の会社のことを聞いてきたんだけど、
基本的に興味ないことには無頓着だから
質問されてもちゃんと答えられなくて
会話は弾まなかった…
二人の共通した話題と言えば相葉ちゃんな訳で…
結局、相葉ちゃんの話になってしまう。
二人が大学からの友人だってのはわかってるけど、度々彼女の口から出てくる相葉ちゃんの話題にさえもモヤモヤしてる自分がいた。
・
展望台に着くと、彼女が嬉しそうにはしゃいで
こっちまで嬉しくなった。
展望台から眺める景色は綺麗で爽やかで
満足そうに笑う彼女を見ていると
さっきまでのモヤモヤも少しは晴れた気がする。
「お弁当持ってきて海見ながら食べたい」って
無邪気に笑う彼女に
「今度そうしよう。」
って言ったら
少し戸惑った表情をした。
これが相葉ちゃんの誘いだったら？
もしニノからの誘いだったら即答してた？
そんなネガティブなことを考えてしまうほど
俺は彼女と仲良くなりたいって気持ちが膨らんでた。
だから転びそうになった彼女の手をずっと離さなかったんだ。
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作者名：みーにゃ
| 作成日時：2015年9月16日 22時
