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しばらく海を眺めながら座ってたけど、
隣に大野さんが居たからか
カズのことは全く思い出さなかった。
むしろ、大学の頃のカズを知ってる人がこんなに近くにいるなら
どんな人だったかとか聞いちゃいそうなのに…
それって
少しずつ私の中のカズが消えていってるんじゃないかなって思えた。
部屋に戻ってスマホを見ると大野さんから着信が入っていた。
時間から見ても
私が一人で海を見てた時だ…
「 電話くれてたんですね…すみません。」
「いや、お茶買うのに持っていかないもんな…」
息を切らしていた大野さんを思い出す。
本当に心配してくれてたんだって思ったら
申し訳ない気持ちと
嬉しい気持ちが少しあった。
「…そろそろ寝る？」
「そうですね。結構遅くまで海を見てたから、もうこんな時間…」
「布団敷くからテーブル寄せるよ。」
そう言って和室のテーブルを隅に寄せて
押し入れから二組の布団を取り出してくれた。
大野さんは
私に配慮してなのか、お互いの布団をすごく離れた場所に敷いた。
「ふふ…なんか喧嘩した夫婦みたいですね。」
極端に部屋の端と端だったから、思わず笑ってしまった。
「はは、かなり深刻な喧嘩っぽいな。」
「…私はこんなに離さなくてもいいですよ？」
「え？」
「あ、いや、ホントに喧嘩してるみたいな気分になるから…大野さんが嫌だったらこのままでも大丈夫です。」
何言ってんだ私は…
近づきたいって言ってるようなもんじゃん…
馴れ馴れしい女って思われたかな…
半分無意識に言ってしまった事に恥ずかしくなった。
「…佐伯さんが嫌じゃなければ…」
恥ずかしい発言に後悔をしてると大野さんが
適度な距離に布団を敷き直してくれた。
「このくらいがしっくりくるな。」
そう言って笑った大野さんの顔を見て恥ずかしさが少し和らいだ。
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作者名：みーにゃ
| 作成日時：2015年9月16日 22時
