32*satoshi side* ページ32
廊下に出ると気まずそうな顔の彼女が座って待っていた。
すっぴん…かな。
風呂行ってたんだしそうだよな…
彼女の頬はほんのりピンクに色づいていて
すっぴんとは思えないくらい綺麗な肌をしていた。
部屋に戻っていると
途中から彼女が俺の後ろを歩いた。
俺…拒絶されてる？
なんとなくそんな気がしてショックだった。
部屋に戻ると彼女がテレビをつける。
そこに映し出された映像がベッドシーンだったから
思わず目を逸らして座った。
目を逸らしても聞こえてくる
生々しい言葉。
やめてくれよ…
これ以上俺を刺激しないでくれ…
そう思っていたら視線を感じて彼女の方に目をやると目線が合って
いきなり飲み物買ってくるって言うから
少し助かった…って思ってしまった。
彼女が飲み物を買いに行ってる間に
何の支障もなさそうなNHKのニュース番組にチャンネルを合わせた。
ニュース番組なんて普段見ないから
待つのが長く感じる。
10分経っても帰ってこないし
心配になって電話をかけてみたら
すぐそこにあった鞄からバイブ音が聞こえてきて焦った。
急いで部屋を出て
全ての階の自販機を見て、トイレに居ないか声をかけたけど反応がない。
まさかとは思ったけど、フロントの玄関を出ると
少し離れた場所にベンチに座っている人影が見えたから走って向かった。
後ろ姿は間違いなく彼女で
ホッとして少し泣きそうになった。
なんでこんなに無防備なんだよ…
自分がどれだけ魅力的かわかってんのか？
そう思ってたら腹が立ってきて
自分が言える精一杯の説教をした。
彼女に伝わったかはわからないけど、
しょんぼりしてるような気がするし
少し言い過ぎたかなって思って
海を見たかったらしい彼女のために
俺も一緒に眺めることにした。
キラキラ光る海を見てたら
さっきまでの苛立ちがあっという間に消えていった。
「海って凄いよな…」
そう言って彼女を見たら
満月の光が彼女を照らしてて
碧色の瞳が普段以上に綺麗に見えた。
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作者名：みーにゃ
| 作成日時：2015年9月16日 22時
