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運ばれてきた料理全てが美味しくて
自然とビールがすすんだ。
「これくらいにしとこうかな…」
大野さんのコップに瓶ビールを傾けようとしたらそう言われた。
「そうですか？この前はもっと飲んでたのに…」
「いや、飲めるけど…一応、同じ部屋だし…」
「…そ、そうですよね。」
同じ部屋で寝ることに気を遣ってるんだ…
あんな泥酔女初めて見ただろうし…
もう２度と見たくないよね。
そう思って、私もコップに残ったビールで終わりにした。
「お腹も一杯ですし、そろそろお部屋に戻ります？」
「そうだね。」
船長さんと奥さんにお礼を言って部屋に戻った。
さっきまで賑やかだった食堂とはうって変わって静かな室内。
なんとなく気まずくて沈黙する。
「…俺、風呂行ってくるわ。」
「あ、じゃあ私もそうします。」
「わかった。俺の方が早いと思うから鍵持っとく。」
「はい。」
二人でお風呂場まで一緒に行って
お互いの浴室の入り口で別れた。
・
服を脱いで浴室に入ると
室内風呂と小さな露天風呂があった。
「露天風呂もあるんだ…」
女風呂には誰もいなくて、貸切状態。
釣りする人が多いみたいだから女性は少ないのかな…
体を洗って露天風呂に向かった。
綺麗…
今日は満月だったんだ…
昼間とは違う真っ暗な海に
満月が反射して、波がキラキラ輝いていた。
こんな充実した休日っていつぶりだろ…
カズと旅行行ったことはあるけど、部屋でゲームしてたし、本音を言えば楽しかったのかさえもわからない。
もとはと言えば、私のワガママで行くことになった旅行だったから
文句のひとつも言えなかった…
言っちゃったら嫌われるんじゃないかって
自分でブレーキかけてたんだ…
はぁ…
またカズのことばっかり思い出してる…
大野さんに失礼だよね。
ネガティブ思考を洗い流すように
顔に温泉のお湯をかけた時
壁の向こうから男性の声が聞こえてきた。
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作者名：みーにゃ
| 作成日時：2015年9月16日 22時
