碧の宝石 (ページ24)

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「結構でかいね。」

「す、すごい…こんなの想像してなかったから信じらんない…」

驚く私に大野さんが「持ってみる？」って手袋を渡してくれた。

片手では持ち上げられなくて口の部分と尾びれの部分を持った。

「…記念に写真とる？」

「あ、うん！撮りたい。私のスマホ、鞄の…」

「俺ので撮って後で送る。」

そう言って大野さんのスマホで写真を撮ってくれた。

それから何回かヒットするけど、全てマグロ以外の魚で、私しか釣れなかった。

まぁ、ほとんど大野さんが釣ったようなもんだけどね。

「そろそろ戻ろうか。」

夕陽が海にかかりかけて海面をオレンジ色に染め始めていた。

「すごく綺麗…」

「うん…海釣りってこんな景色も見れるから好きなんだよな…」

私の隣に座った大野さんの顔を見ると
夕焼け色に染まってて
なんだかかっこよく見えた。

「…俺の顔…何かついてる？」

「あ…いえ…大野さんにこんな一面もあるんだなぁって思って…」

「あ～釣りしてるとき人が変わるってよく言われるからなぁ。」

「…そうなんですね。」

やっぱり色んな人と釣りに来てるんだよね。

きっと会社の女性だったりもするだろうし。
今回それがたまたま私だった…

…何考えてんだろ。
他にどんな人と来ようが私には関係ない話。

思いの外楽しかったから
他にも楽しい思いをしてる人がいるって思うと独占欲みたいな変な感情が芽生えちゃったのかな…

こんなところが私の結婚できない理由なのかも。
カズだって、そんな私を見抜いたから離れていったんだ…。

いつまでも続く広い地平線と
キラキラとオレンジ色に輝く海を見てたら
自然と涙がこぼれた。

大野さんに気づかれないように
そっと涙を拭って溜め息を飲み込んだ。